悠然と泳ぐ鱒たちを見ていたら、息子が突然、「なんじゃ、ありゃ?!」と、すっとんきょうな声を上げた。 指差す方向に目をやると・・・ 「へっ??」 思わず声が出た。 口をぱっくり開けたままの鱒が一匹、でかい鱒たちの隙間を縫うように、ひろひろと泳いでいる・・・ではないか。 いつ口を閉じるのだろうか。 泳ぎ続けるこの鱒をずっと見ていたが、口は閉じない・・・。こっちの開いた口もふさがらなかった。 黒鱒ことブラックバスだったら、こんな恰好で泳いでいるのを目にしても驚かなかった。というか納得したはずだ。 ずいぶん前になるが、野尻湖で黒鱒釣りをしていたときのこと、ボート用の桟橋から息子がキャストした大型ルアーに、黒鱒が食らいついてきたことがあった。キャスティークというそのルアーは、本物の魚そっくりに作ってあって、長さが20cmほどあった。こんなでかい疑似餌で釣れるはずはない・・・。口には出さなかったが、内心せせら笑っていた。 で、そのとき、息子が大型ルアーをキャストする様子を横で見ていたのだが、キャストしたそのルアーのラインを巻き取っていた息子がとつぜんすっとんきょうな声を上げた。見ると、口を開けた大ぶりの黒鱒が、物凄い形相で、キャスティークめがけて上ってくる・・・のが見えた。野尻湖は透明度の高さで有名。とにかくよく見えたのだ。 リトリーブされながらひらひらと泳ぐキャスティーク。その後方から、口を開けたままの黒鱒がぐんぐん迫ってくる・・・(ちょうど上の写真のような感じで。迫力はぜんぜん違うが・・・)。黒鱒はその口をさらに開きながら追ってくる! もう大人の握りこぶしだってすっぽり入ってしまいそうな大きさだ。急速に詰まる間隔。危うしわれらがキャスティーク・・・。 ずいぶん長く感じた追跡劇だが、実際は10秒にも満たなかったかもしれない。 だがその追跡劇はあっけない幕切れとなった。 最大限に開口して、いまにもキャスティークにかぶりつきそうになったその瞬間、黒鱒は反転したのだ。そして、野尻湖の湖底に向かってゆるゆると泳ぎ去っていった。 人影が見えたからか、それともキャスティークが偽の餌だとわかったからか・・・。 それにしてもあいつはロクマルだったのだろうか・・・?(60cmオーバーの巨大黒鱒をそう呼ぶ) しばしの放心状態から目覚めたわれわれは、久々に目にした大ぶりの黒鱒が反転したわけとともに、そいつのサイズをその後ずっと推測し合ったのだった。 口を開けたこの鱒の画像を画面で見ていてふとこの野尻湖の追跡劇を思い出した。口を開けることを習得してこんな恰好で泳ぐようになったのか、それとも何かの病気なのか。今回も二人であれこれ推測し合った。 証拠写真のない野尻湖の追跡劇。あのときのイメージに近づけようと、口開き鱒の画像をレタッチしてみた。 拡大したが迫力は備わらず、いじりすぎてなんだかイラスト風になってしまった。現場で感じたあの可笑しみと哀しみも伝わらない・・・。
by Chasing1173
| 2013-01-29 22:19
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